ご支援のお願い
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活動内容

日本ECMOnetとは

NPO法⼈日本ECMOnetは、ECMOに精通した医療者が集まり、2020年2月に有志団体として全国への活動を開始しました。
関連する日本呼吸療法医学会、⽇本救急医学会、日本集中治療医学会、日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本小児科学会、日本麻酔科学会、PCPS/ECMO研究会と常に協力関係を維持し、活動を続けております。

COVID-19パンデミックに際し、日本政府の2020年度補正予算措置を受け、厚生労働省事業として日本ECMOnetはパンデミックにより重症患者への医療供給体制が困難となった地域への重症診療⽀援チームの派遣や、全国47都道府県におけるECMO講習会の開催、およびECMO実施困難施設への個別支援(医療チーム派遣、およびWeb会議システムによる遠隔診療支援、等)を実施しました。

以下が2020年2月から2021年10月までの主な活動実績です。

– ECMO等、重症呼吸不全管理に関する電話コンサルト実績237件
– 重症コロナ患者搬送159件(ECMO搬送または人工呼吸器搬送)
– 2021年4月 自衛隊と共に九州-関西間のECMO装着下航空機搬送を実施
– 2021年6月5日から30日まで沖縄県へ重症診療支援チーム派遣(延300人ほどの医療スタッフを沖縄派遣)
– 2021年8月16日から9月12日まで東京都へ重症診療支援チーム派遣(延300人ほどの医療スタッフを東京派遣)
– 全国1162例のECMO患者と7742例の人工呼吸患者の治療経過を”CRISIS”データベースに登録し情報公開

重症診療⽀援チームの派遣は、2021年5⽉の第4波では沖縄県庁、2021年8⽉の第5波では東京都庁からの要請を受け、それぞれ⼀ヶ⽉間で延300⼈ほどの医療スタッフを現地に派遣し、パンデミック地域の重症診療を⽀援しました。

このような活動もあり、我が国の重症COVID-19患者の治療成績は、ECMO患者の救命率64%(海外での救命率は49%、ELSOデータ)、人工呼吸救患者の命率79%を記録し、世界最高水準の成果をあげております。 海外の国々でECMOの救命率が低下している中、日本での第5波におけるECMO救命率は64%と維持されており、人工呼吸救命率は83%と医療崩壊を免れる以上の成績を残しています。

これまでの
ECMO救命率

64%

第五波における
ECMO救命率

64%

これまでの
人工呼吸救命率

79%

第五波における
人工呼吸救命率

83%

[ 日本ECMOnet登録データより ]

日本ECMOnetだからできること

日本ECMOnetは学会の垣根を越え活動を行っております。これは、これまでの日本では行われていないことでした。
それぞれの医療スタッフがECMOに関連して必要とされる様々な知識や技術を派遣先の医療現場で発揮し、全国各地の重症コロナ患者の診療をサポートしております。
例えば、人工呼吸患者を腹這いにして管理する腹臥位療法については、人工呼吸管理が得意なメンバーが中心となって現地で普及活動を実施したことや、感染症指定医療機関から救命救急センターへECMO装着下で搬送するミッションは、救急搬送に長けたメンバーが中心となって実施したことが例としてあげられます。
日本ECMOnetは、それぞれの関連学会のメンバーが、それぞれの持つ医療技術を、それを必要とされる地域にて発揮することで、全国各地の各病院の様々なニーズに応えて参りました。

日本ECMOnetは、全国の各ブロックに“地域ECMOコーディネーター”を配置しており、各地からの医療スタッフ緊急派遣要請に対する迅速応需*の可能な地域は、人口比で71.3%**を記録します。単一ブロック内で対応が不可能な感染爆発時には圏域やブロックを超えた広域搬送調整が必要となるため、その全国的な調整を担当する統括ECMOコーディネーターも配置しています。

まさに重症診療⽀援チームを派遣した沖縄県第4波、および東京都第5波では、地域の医療供給体制が非常に切迫したため、統括ECMOコーディネーターを派遣し、地方行政機関との連携だけでなく、厚生労働省とも連携し、医療崩壊の阻止に尽力しました。

*迅速応需を要請から3時間以内の医療スタッフの現地投入と定義
**日本人口の71.3%の方々に対して迅速応需が可能

コロナ禍を超えて、我々が目指すところ

次なる新興感染症に対する国家防疫政策を考案するに、これまでにCOVID-19重症診療に尽力して来た日本ECMOnetとしては、平時からの備えと有事における危機対応策について提案をします。
危機対応策は平時の計画と有事の計画の双方を立案しておくとともに、国家規模の対策と地域レベルの対策に分けて立案しておくべきです。

平時の地域医療計画においては、講習会等を通してECMOや人工呼吸等の導入および初期診療を担う人材を育成し、質の高い重症診療を広く提供できる基盤整備を行うと共に、国家防疫計画においては、パンデミック時の重症診療システムをコーディネートする人材(統括ECMOコーディネーター)や、ベッドサイドでECMO等の最重症患者の診療を専門に担う医療者の育成と確保、そして有事に派遣となる重症診療支援チームの育成等を行うことが、いずれ来る新興感染症への備えとして肝要です。

コロナ禍を超えたのち、日本ECMOnetは、講習会の開催を通じてECMO等の重症診療を担う人材の育成と担うと共に、ECMOコーディネーターや有事に際して派遣となる重症診療支援チームの育成を行なってゆく所存です。

日本ECMOnetへの皆様のご理解とご支援を、どうぞよろしくお願い致します。

CRISIS公開データ

日本ECMOnetのメンバーは、ECMOや人工呼吸
治療を必要とした重症患者の症例登録とデータ解
析を行なっています。